ひた森の担い手づくり協議会の広報チーム(林業初心者)です。
実は私、スギを愛する日田で生まれ育ちながらも、現代病ともいわれる花粉症患者のひとり。春はスギやヒノキに戦々恐々しています。
しかしながら、スギもヒノキも一生懸命に生きているわけで、人々の暮らしや経済に大きく貢献してくれているわけです。
最近は予防薬もありますしね。病院の先生も「しっかり予防すれば大丈夫」というので、しっかり対策すれば大丈夫!
はりきって森に出かけましょう!
第3回目はいよいよ実践研修!
さて、去る2月に開催されたひた森勉強会は、いよいよ「実践研修」に進みました。
基礎を学んだ第1回、「植え付け」「鹿ネット」などを学んだ第2回を経て、行われる第3回は2日間の日程で、植え付けの実践を行います。
これまでの研修風景はこちらから。
そして迎えた第3回は、日田市大鶴エリアに移動。
日田はとっても広いので、あちこちに林業フィールドが広がっているのです。
まずは大鶴公民館に集合。
いよいよ終盤のひた森勉強会。講師も参加者も顔なじみが増えて和気あいあいとスタート。
「実際、1日にどのくらい作業ができるのか、今後のことを考えながら作業いただけたら」と、ひた森企画部会メンバーである、ナンブ木材流通の武内暁男部会長があいさつ。
造林の仕事において「1日に何本植えられるか」は「1日にいくら稼げるか」とイコール。自らの仕事にしようと思う人にとって、自分がどれだけできるのかをイメージできる機会はとても重要です。
それでは早速、現場へ。
ぐねぐねの山道をのぼっていくと、そこには見事なフィールドが。
美しい棚が並ぶこの場所が、今回の実践フィールド。
第2回研修で習った「棚」が、これだけきれいに並ぶ現場は壮観。
立派な棚に日田林業の担い手が持つ技と誇りを感じます。
講師は日田の林業者。いざ「植え付け」実践へ
実践研修は2〜3人の班ごとにわかれ、班ごとに講師の先生がつきます。
講師の先生は、日田森林組合、マルマタ林業、日田郡森林組合の皆さん。
この場所だけで2,000本(!)を植えるとのこと。
この日は4班に分かれて合計800本を植えるそうですが、それでも林業初心者にはとてつもない数に感じます。
そして、涼しい顔で山に向かっていく講師の先生がなんだかかっこいい。
苗をかかえて現場に向かう講師と参加者。
「棚と棚の間に2本」「棚の下から30〜40センチ離して植えて……」と、指導を受けながら、参加者の皆さんの手で、一本一本、赤ちゃんスギが植えられていきます。
「大変だな〜」と心の声をつぶやいてしまう参加者や、もくもくと植え続ける参加者、「意外といけるかも!」と話す参加者など、各々がリアルを感覚を得ている様子。
こちらはマンツーマンでの植え付けを指導。
あちこちの班を観察していくと、講師役にも個性があることがわかります。黙々と指導する職人肌の講師もいれば、知識やノウハウを存分に語ってくれる講師もいる山の現場。
実際に林業に就くなら、さまざまなタイプの林業者と出会うことになります。どんな人が師匠になり、あるいは仕事仲間になるのか。こうした研修で、一緒に働くかもしれない人の雰囲気を知れることも大事ですね。
目標は1日300本。かつては800本/日の強者も?!
ところで、あるグループの会話に耳を傾けていると「山仕事で1日8時間植えるのはきついので、1日で植える目標は300本かなあ」というリアルな数字が聞こえきました。
ふんふんと聞いていると、「昔の人は1日800本植えていたとも聞きますね」とも。この日はこれだけの人数で2,000本を植えると聞いていたところ、「1日800本」とは。ひえー!
これだけのフィールドに1日300〜800本!?
お昼は大鶴公民館に戻り、ランチ休憩。
この日のランチは日田の地元野菜やジビエ肉を使った「獅子汁」と「炊き込みごはん」。ひた森勉強会の参加者には日田市外からお越しの方も多くいるので、今回は地元の料理家さんと昭和学園高等学校の調理科の生徒たちが協力くださり、山を味わうランチボックスを用意してくださいました。
山の恵みたっぷりの獅子汁と炊き込みごはん。タコとカニにも癒されます。
あたたかい獅子汁に癒され、ふたたび現場へ。
学では学べないコツの数々
この日の苗は「ポット苗」という種類で、根っこに土が付いています。
ある講師は、ポット苗を効率よく植える時のポイントとして、鍬の入れ方と、土の戻し方のコツを指導していました。
こちらがポット苗。講師の指先付近まで土がかぶるように植えていくとのこと。
「鍬は長く持ち、3回ふって鍬が土に入るように」
「なぜなら、1日に300本植えると1日に900回鍬を振ることになるから」
確かに。広報チームも試しに鍬を振ってみましたが、むやみに鍬を振ってもうまく土に入らず、思い通りの穴が掘れるまで何回も鍬を振ってしまいます。これでは時間もかかるし、体力も無くなってしまう……。
そもそも「穴を掘る」というよりは、鍬でポット苗が入るだけの「隙間を開ける」ようなイメージ。「地面を開いて苗を置き、少しだけ戻す」のがポイントだそうです。
鍬で広げた隙間にささっと苗を言えれて、鍬と苗を入れ替える…なるほど!
土を戻すときに葉っぱなどが入ってしまうと、苗がしっかり定着できなくなるので、「土を戻す時は、パッと蹴って土だけを入れる。鍬で広げた隙間に苗を入れて、鍬と苗を入れ替えるようにするといいですね」とのこと。
なるほど、なるほどと感動しているうちに、いつの間にか作業が終了。
実践研修1日目が終わりました。
植えられたスギの赤ちゃん。元気に育ますように。
次回、実践研修2日目でひた森勉強会はいよいよ終了です。