2025年7月19日、株式会社古川ちいきの総合研究所・代表取締役の古川大輔さんをメインゲストに招いての第2回ひた森講演会「やりがいと自己実現を叶える林業の先端モデルとは?」を開催しました。その一部を紹介します。
九州各県や関西エリアから集った80名超の参加者が来場
当日、会場の日田市複合文化施設AOSEには日田市内の林業関係者はもちろん、福岡、熊本、佐賀などの九州エリアや、遠くは奈良県などから駆けつけた参加者など、80名を超える参加者が集まりました。
冒頭はひた森の担い手づくり協議会の諌本会長が挨拶。協議会の目的が豊かな森林と地域産業を持続可能なものにすることにあると述べた上で、この連続講演会が単なる知識のインプットに留まらず、林業の新たな担い手を創出し、参加者同士が繋がり未来を共創するネットワーク構築のプラットフォームとしての役割を担っていることが語られました。

続く古川さんの講演では、まず各業界で当たり前に使われる「担い手確保」という言葉への違和感が提起されました。
「確保」という言葉には、人々を労働力としてしか見ていない響きがあるとのこと。そこで、
- 既存の仕事を、心から「魅力的」なものにすること
- 起業やベンチャーを支援し、新しい形を応援すること
の2つが重要であると提案されました。

「林業は他産業に比べて想像力やストーリーで遅れをとっている。寿司屋が魚の産地や締め方を語り、焼肉屋が肉の部位や生産者のこだわりを語るように、木材の価値を伝える物語が圧倒的に不足している」(古川さん)
川上から川下まで、産業としての林業が成り立つには、そのものの魅力を消費者に伝える努力が必要というわけです。
全国での革新的な取り組みをみつめてきた古川さんは、複数の「林業の先端モデル」を紹介。
- 「フォレストアドベンチャー」のように、森を体験型のエンターテイメント空間として活用する森林活用型ビジネス
- ドローンなどを活用した特殊伐採技術を活かし、高収益な専門ビジネスを確立するモデル
- 2028年に東京で完成予定の木造高層ビルに代表される、建築分野での新たな木材需要の創出
- 林業と全く異なる分野を組み合わせたユニークな商品開発
といった新たな林業の価値を創出する事例に、会場の参加者も頷いていました。
やりがいとは好きなことを追求すること
講演会の演題となった「やりがいと自己実現を叶える」について、古川さんは「情熱とは、好きなことを追求すること」だと言及。日田出身の作家・諫山創さんが描く『進撃の巨人』に登場するセリフを引用しながら、好きなことであれば、人はどんな困難な壁も乗り越えようと努力できる。それが自己実現に繋がり、結果として周囲を巻き込み、新しい価値を生み出す原動力となることを語ってくれました。
古川さんの講演後は、日田市の服部浩治副市長、マルマタ林業3代目の合原万貴さんを交えたトークセッションへ。

まずは、林野庁から日田市に出向している服部副市長が、日田林業の強みや独自性を解説。古川さんの示した全国的な視点を、日田というローカルと重ねていきました。
- 市の面積の83%を占める広大な森林
- そのうち74%が利用期を迎えた40年生以上の人工林
- 市内で稼働する活発な原木市場が7社あり、専門性の高い製材所が54社存在
という服部副市長が語るポイントからわかるのは、日田林業の多様性。それは、古川さんが語った「語るべき物語」でもあります。

ここで2024年の「ひた森勉強会」「ひた森講演会」への参加をきっかけに、日田に移住して合同会社フォレストシティを創業した都賢太郎さんにマイクが渡り、「日田林業の魅力とは?」と尋ねられると、都さんも日田の林業が「林業のショーケースのようだ」と答えてくれました。
トークセッションでは他にも、「次世代の林業家に求められるスキルセットは、右手にチェーンソー、左手に電卓」と語った古川さんの言葉や、「石を積むという作業でも『石を積んでいる』と思いながら作業する人と『国を守る城壁をつくっている』と考えながら作業する人がいる。林業も同様で、単に木を切るのではなく、地球温暖化防止や災害防止といった社会的な意義を理解することが、真のやりがいにつながる」という服部副市長の言葉など、すでに林業に携わる人にも、これから携わりたい人にも刺さる数多くのヒントが投げかけられました。

最後に古川さんは講演会後の「プラスワンアクション」を提案。大事なことは「良い話だった」で終わらせないこと。一人ひとりが自身の実践につながげていきましょう!という呼びかけられた講演会は大盛況のうちに幕を閉じました。
