【活動報告】青葉組&田島山業の若手林業家が語る、山と向き合う新たな視点「第4回ひた森講演会」レポート

2026年1月17日、日田市森林組合にて、第4回ひた森講演会「注目の若手林業家に聞く。私が木を植える道を選んだ理由」を開催しました。

ゲストにお迎えしたのは、全国の林業界隈でも注目を集める青葉組(東京)の代表取締役・中井照大郎さんと、田島山業の田島大輔さん。

林業が隆盛を極めた時代から斜陽に傾く現代、「木を植える」「山を育てる」ことの価値や意義を新たな視点で再定義するお二人の取り組みと熱のこもった対話に、会場は大きな熱気に包まれました。

「森は激アツ」ギャルも惹かる青葉組の働き方

 

まずは中井照大郎さんが、林業における「森づくり」「働き方」「ビジネスモデル」の変革を進める青葉組の取り組みを紹介しました。

2020年度に栃木県で事業をスタートし、「山が不要になった」という山主から土地をそのまま引き取ったり、地上権を設定して「50年間まとめて山主から一切費用をもらわずに管理する」といった形で、管理地を拡大。現在では茨城県、新潟県、岩手県にも活動範囲を広げ、岩手県大船渡市では大規模な山火事で焼失した現場での造林にも取り組んでいます。

ユニークなのはその「働き方」。未経験者も多く集まる青葉組では、3勤1休制度(3日働いて1日休み)や、実働時間の短縮など、業界の常識を覆す独自の働き方を進めていることが語られると、会場からはおどろきの感嘆が聞こえてきました。

さらに興味深いのは「ポジティビストであれ」という採用基準。そんな明るい空気にも惹かれて、青葉組の広報担当に「ギャルが入社した」というエピソードでは、「都心のギャルが仲間に『森は激アツ!』と語っている」という話に、参加者も興味津々!

造林作業の傍らで行っているという「湿地づくり」も、カエルやドジョウなどの生物を増やす生物多様性への貢献だけでなく、造林・育林に従事するスタッフの「働く楽しさ」にもつながっているとのこと。

世界規模の課題である「生物多様性の保全」は、企業のサスティナビリティ活動とも結びつきやすいため、結果として、新たな資金循環も生み出している実践例が語られました。

 

自然資本を価値に変える。
田島山業の「森を守る新たな仕組み」

 

続いて登壇した田島山業の田島大輔さんは、「山を持っているだけで収入を増やせる状況をいかにつくるか」という課題に対する挑戦を語りました。

約1,200ヘクタールの山林を管理し、植林から伐採までを一貫して行う田島山業を受け継ぐ田島さんは、時代の変化のなかで年々難しくなってきた林業経営の壁を説明。

それでも「断固、山を守る」というビジョンに向かう田島産業では、J-クレジット制度(温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する制度)の販売や、LINEヤフーやソラシドエアなどの大手企業と連携した森づくり、生物多様性や水資源の保全といった「自然資本」の価値を可視化する取り組みを進めています。

田島さんは、単にCO2排出権を売るだけでなく、企業の社員が実際に森を訪れ、自分たちが守る森の豊かさを体感する「関係性」を築くことの重要性も強調。

森で楽しむことをベースに企業や人々を巻き込んでいく「森の関係デザイナー」という新たな職種を設けるなど、柔軟な発想で森のファンを増やしていく姿勢に、参加者は深く頷いていました。

 

企業連携と、次世代の森づくりに向けた視点

 

後半のトークセッションでは、ひた森企画専門部員の鯨本あつこが進行に加わり、参加者からの質疑応答を交えながらディスカッションを行われました。

「何者でもない状態からどうやって大企業と連携するのか?」という質問に対し、両名からは「まずは現場での実績を積むこと」「自分たちのビジョンやスタンスを、こだわりのある写真や言葉でしっかりと発信すること」の重要性が語られました。

さらに、人口減少社会における林業の役割について、単なる木材生産にとどまらず、水や生物多様性を守る「地球環境の基盤を支える仕事」としての誇りと可能性が共有されました。

地域全体で森を支える未来へ

 

講演の最後には、ひた森の担い手づくり協議会の副会長から、「50年という時間を扱う林業において、これからは個人の努力だけでなく、地域や社会全体で引き受ける仕組みが必要。本日は、民間から新たな資金を引き出し、地域全体で森を支えるための入り口を示していただいた」との言葉が贈られ、盛況のうちに幕を閉じました。

講演会後には日田の大衆食堂「寶屋」にて懇親会も行われ、登壇者と参加者が語り合う有意義な時間となりました。

次回、第5回ひた森講演会は2026年2月21日(土)に開催。テーマは「人口減少時代に造林・育林を広げる関係人口の重要性~みんなで森をモリアゲよう」です。

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